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【サッカー】チーム作りにおいて大事なこと3つ!

新チームで失敗したくない
自分なりのチームを作りたいけど何から手をつければいいかわからない
どんなチーム作りの方法があるのか?

こういった疑問に答えます。

本記事の内容
  • チーム作りにおいて大事なこと3つ
  • まず初めにチーム方針とチームのルールを決める
  • 実際にチーム作りをする

この記事を書いている私は、スペインのチームで5年間に渡ってチームスタッフとして活動しています。また、これまでに合計6チーム、4人の異なる第一監督と共にチーム活動を行なってきています。

こういった私が、解説していきます。

 チーム作りにおいて大事なこと3つ

①方針・ルールを決める

ここで話すことは「サッカー指導上達!ライセンスや経歴じゃない!【2つのポイント】」という記事でも少し話したことです。とても重要なことなので、復習も兼ねて目を通してみてください。

まずは、簡単に言葉を整理していきます。

  • チームの方針=スローガン・アイデンティティ
  • チームのルール=チームの方針を守るために必要なこと

2021-2022 モラタラスB(U23)のチームの方針・ルールの例を見てみましょう。
※描きの画像は、実際チームで使った画像を簡易化し、日本語に翻訳したものになります。

チームの方針やルールを決めることの目的は、は2つです。

  1. チームの方向性を明確にすること。
    (チームとして大事にしたいこと)
  2. チーム活動をしていく上での無駄な時間・無駄な衝突を避けること。
    (振る舞い)

例えば、チームの夕食会があるのに、「行きたくないから」と言う理由で行かないのは問題になります。なぜなら、チームとして多くの時間を過ごすと言う“ルール”を事前に設けているからです。チームが準備した時間は共有します。もちろん、体調不良などと言った例外はあります。これらの例外については、選手とのコミュニケーションが必要です。

ただし、これらの方針・ルールを事前に伝えなかった場合、選手との不必要な衝突につながります。

練習でも同様です。チームとして全力でプレーし、練習すると言うルールを設けているのにも関わらず、注意散漫な態度でふざけて練習に取り組んでいれば、これも問題です。
このような問題が起きた時には、チームに対して働きかけが必要です。

一方で、「指導者が多くのルールを設けることで、選手たちを束縛し、選手のストレスや選手の自主性を妨げるのではないか?」と言う意見もあると思います。

まず、ルールを多く設ける必要はありません。大まかなルール・方針を示すことがポイントです。多くルールを設けることは選手を不必要に束縛し過ぎてしまうことに繋がるからです。つまり、選手のストレスにもなります。
チームとして活動する以上、チームを尊重する必要がありますが、同時に選手たちが自チームにいることを幸せに感じられるように指導者が配慮する必要もあります。

次に、指導者がルールを設けることで選手の自主性が失われることはありません。
私たちはサッカーの世界に生きると言うこと以前に、1人の人として生きています。そして、1人の人として生きる上で社会には多くのルールが存在します。
私たちに自主性はないでしょうか?

ルールのもと、私たちは自分の頭で考え、それぞれの人生を生きているはずです。
チーム活動を同様です。

んー、そうは言っても不安だ…

こう思う人もいるとはずです。
なので、記事後半で選手たちに自主性を求めながらチーム作りをする方法を紹介します。
ただし、ここでの注意事項は「指導者が必ず自分の考えを準備する」ということです。選手たちだけに考えさせて、指導者が何も考えていないと言うことはなしにしましょう。

まずは指導者がチームの方針とチームのルールを決めることが大事です。

*他にどのような方針・ルールがあるのか?

  • クラブとしての方針・ルール
    ⇨クラブとして何を大事にするのか?
    例:選手を形成する(モラタラス)
  • チームとしての方針・ルール
    ⇨チームとして何を大事にするのか?=スローガン
    例:家族・勇気・約束・情熱(先ほどの例)
  • スタッフ間
    ⇨スタッフ間でどのように仕事をするのか?(役割分担)
    例:スタッフ間でチームの仕事について疑問を残さない。疑問があれば、練習や試合の前に話し合う。
  • 個人
    ⇨(指導者から見て)選手個人が改善するべきこと
    *→個人分析の基準となる
    例:あるセンターバックの場合。
    ダイレクトプレーをするチームから移籍して来て、ボールを保持しながらどのように前進するのか理解できていない。しかし、ボールを扱う技術は十分にある。守備の側面に強みがある。守備の側面を強化しながら、チームがボールを持った時のポジショニング・プレーの判断を改善する。
  • 選手とスタッフ間
    ⇨選手とスタッフ間でどのように関係性を気づくのか?
    例:サッカーだけではなく、学校や仕事などのことについても話し合える関係性を目指す。
  • クラブと外部・チームと外部など
    ⇨クラブとして、選手や指導者に対して、外部とどのような関係性を持つのかを提示する。
    例:SNSの扱いについて・スペインの場合賭け事について
    (特にお金をもらって活動するチーム【プロ•セミプロ】で必要になること)

②コミュニケーションを取る

チーム作りにおいて大事なことの2つ目は、コミュニケーションを取ることです。
これは選手とスタッフだけではなく、選手同士・スタッフ同士の間にも当てはまります。

コミュニケーションを取る目的は、主に3つです。

  1. 意見交換できる関係性
  2. 信頼を得る
  3. 距離感(お互いへのリスペクト)

①相手の顔を伺い過ぎたり、異なる意見を出すことを躊躇するような関係性は避けましょう!
⇨聞きたいことや疑問がある時に、気兼ねなく話し合えるような関係性を目指しましょう。チーム活動をしていく上で、疑問が残った状態では同じ方向に進むことは困難です。

②自分がどんな人なのか、相手がどんな人なのか、お互いを理解し合うよう努めましょう!
⇨チームで取り組むことに疑問を持つことは、チームの成長にブレーキをかけます。チームでの取り組みや選手•指導者の発言に対して自信を持てるように、お互いに信頼関係を得れるようにすることが大事です。
普段からいい加減なことを言ったり、相手を傷つけるような発言・振る舞いをしている人から何かを言われても、たとえそれが正しいことであっても、受け入れることは簡単ではないでしょう。相手の信頼を得るためにも、コミュニケーションは重要です。

③「親しき中にも礼儀あり!」
⇨コミュニケーションを取れるようになってくると、冗談やふざけたことを言うようこともあります。しかし、それが原因で相手を傷つけたり、相手に不快な思いを与えることは避けなくてはいけません。
指導者と選手同士で冗談を言い合っても、そこにお互いへのリスペクトがあるのかを確かめましょう!

コミュニケーションで大事なことはチーム内でお互いの考えを深く理解することです。

           さっする
日本の文化として「察する」と言うものがあります。
これは、“相手を配慮し振る舞う”と言う日本のおもてなし文化にも通づるものです。日本文化の素晴らしい側面の1つです。
しかし一方で、考えていること・感じていることを相手に伝えずに、相手を深く理解することはほぼ不可能と言っていいでしょう。「お互いの解釈や理解の食い違いが問題を生む」、これは長年の付き合いのある関係性でもよく起こることです。

ことチーム活動をする上では、「言わなくてもわかるだろ!」と言う考えを頭の片隅にしまってください。積極的にコミュニケーションをとり、チームが同じ方向に進めるようにしましょう!

そうは言っても、あまり個人に干渉しすぎるのも良くないし…。

このような意見を持つ人もいるでしょう。

よくわかります!

私自身、自分のプライベートやテリトリーに誰かが入ってくることをあまり好みません。それもあって、選手やスタッフとコミュニケーションを取ることに多少抵抗があります。

しかし、チーム活動、異なる人たちと行動をする上ではコミュニケーションは必要不可欠です。なぜなら「言わなくてもわかるだろ!」と言うことはないからです。

では、相手に干渉し過ぎず、コミュニケーションを取るためにはどうしたらいいのか?

私から言えることは1つです。

相手を尊重しながら、挨拶でもワンフレーズでも声をかけてみることです。

私の場合、スペイン語という言語の壁があり、相手を理解することは日本人に比べてより困難になります。特に、スペインでの1年目、2年目は苦労しました。
しかし、最初は「Hola!(やぁ!)」の軽い挨拶から始まり、「¿Qué tal estás?(調子はどう?)」、「¿Qué has hecho hoy?(今日は何してたの?)」と少しずつ会話をするようにしました。すると、「今日は何していたんだい?」「この練習メニューのここが理解できないだけど…」、「今日の試合どう思った?」と今度は向かうから声をかけてくれるようになってきました。

こう言った簡単なコミュニケーションをしながら、「あっ!ちょっと踏み込み過ぎたかな?」「自分ばかり話していたな。もっと相手の話を聞くべきだったな」と思ったら、次はその反省を生かします。トライアンドエラーです。

これを繰り返して、意見交換できる関係性、信頼関係、相手の距離感を掴んでいきましょう!

※補足:保護者や代理人との接触は極力避けた方が良いでしょう。選手との直接の関係性を大事にしましょう!

スペインのマドリッド州サッカー協会のある指導者講習会では、「保護者との接触は少なければ少ないほど良い」と言われたくらいです。実際、ラージョBの監督は、選手との直接の関係性を大事にしています。

理由としては、保護者や代理人はチームとしての働きを知らないからです。
保護者や代理人は、選手個人をサポートしてくれています。考えの中心は、常にその選手個人についてです。しかし、私たちはチームを中心に物事を考えています。
考えの中心が異なる以上、意見の違いは生まれます。これに対応することは、不必要に」時間を消費してしまいます。

よくある例は、いち選手が試合に出場しない理由をその保護者が指導者に聞いてくることです。
スペインでもこれは起こります。ただし多くの場合、選手たちはなぜ試合に出れていないのか、なぜ他の選手がその選手より出場時間を得ているのかを理解しています。
選手も1人の人間です。理解しているからと言って、試合に出れないことに満足することはありません。特に、年齢の小さい選手はその気持ちを素直に表に出します。そうすると、保護者が出てきて、「なんでうちの子は試合に出れないんですか?」と聞いてきます。
これは私からしてみれば、チームの仕事に対してリスペクトがないことになります。

「でも、小さい子供は大人に対して自分から聞くことなんてできないよ!」

こう考える人もいるでしょう。
しかし、「選手自身が自分の聞きたいことを自分で聞き、他人をコミュニケーションを取れるようにする。」、これも含めて選手形成・自主性を育むということではないでしょうか?

選手がどのように聞いたらいいのかわからないようであれば、それを助けるのが私たち大人の役割ではないでしょうか?

コミュニケーションの取り方の例一覧

方法①:旅行・イベント

◉タイミング(時期)
-プレシーズン(開幕前)

◉ポイント
-アクティビティを交えること(プール・ハイキングなど)

方法②:ご飯会(選手と合同や指導者のみ)

◉タイミング(時期)
-ハロウィン -クリスマス
-祝日やイベントとなる日を機会に開催
*モラタラスU19やラージョBの場合、選手たちがお店の予約などをオーガナイズすることもあります。そこに指導者を参加します。
-シーズン中(指導者のみ)
*カフェで小一時間でも良いでしょう。

方法③:面談

◉タイミング(時期)
-特にシーズン中

◉種類
-個別面談
-グループ面談(ポジション別、キャプテンと副キャプテンなど)

③軸となるプレースタイル

チーム作りの3つのポイント、最後は「軸となるプレースタイルを考える」ということです。

最初からあまり詳細を決め過ぎないようにしましょう!
なぜなら、プレースタイルに余白を残すことが大事だからです。

具体的な例を見ていきましょう。
ここから話す内容は、実際にモラタラスU19であった話です。

モラタラスU19は3シーズンに渡ってチーム戦術を変えています。
しかし、モラタラスというクラブにおけるフィロソフィー(哲学)である「選手を育成する」「ボールを保持しながら前進する」というところは変えていません。

  • 2021-2022ボールを保持しながら相手ゴールへ向かう。高い位置でブロックを形成し積極的にボールを奪いに行く。そもそもマドリッド州1部リーグ(スペイン3部相当)においては、守備をする時間が少なく、攻撃の局面を軸にチームを確立。
    *このシーズンは、レアルマドリッドに次いで順位上2位になり、スペイン2部リーグへ昇格しました。75得点38失点。(2位/18チーム中: 昇格)
  • 2022-2023:スペイン2部リーグにおいて多く得点を取れるようなチームじゃない。クリーンシートを目指して、少ないゴールで勝てるチームを目指す必要性があることを知る。
    (スペイン2部リーグ1年目)40得点38失点。(2位/11チーム中: 残留)
  • 2023-2024:1-4-3−3から1-4-4-2にシステムを変える。このシーズンは、今までのシーズンのように純粋なウイングの選手がいない。一方で、中盤でプレーできる良い選手が多い。本来ウイングでプレーしていた選手は、フォワードとして数える。その上で、昨シーズンと同様にクリーンシートを目指して、少ないゴールで勝てるチームを目指す。

最初から「1-4-3−3でプレーしたい」と言ったように詳細を決めてしまうとそれがうまくいかなくなった時に大幅な路線変更が必要になります。大幅な路線変更は、チームへの信頼やチームを改善する時間を失うことにつながります。よっぽどのことがない限り大幅な路線変更は避けましょう。そのためには、詳細ではなく「軸となるプレースタイル」を考えましょう。

いーや、うちはクラブ内で同じ哲学でやりたい!同じ方法でやりたい!

このような意見もあると思います。

ここでいくつか質問をさせてください。

-クラブ内で同じ哲学、同じ方法で活動するとなったら、サッカー指導者にやりがいはあるでしょうか?
-また、選手たちの特徴が全く一緒ということはまずありません。そのような状況で全く同じ方法でうまく行くでしょうか?
-それは本当に統一しなければいけないことなのでしょうか?

チームのプレースタイルから決めるのではなく、 まず初めにチーム方針とチームのルールを決め、それをもとに大まかなチームのプレースタイルを考えることに目を向けてみて下さい。

どのように軸となるプレースタイルを考えるのか?

◉局面から考える

⚫︎攻撃ではどうしたいのか?
例:ボール保持しながら前進したい

⚫︎守備ではどうしたいのか?
(例:A積極的にボールを奪いに行きたい/B中盤でブロックを形成して堅固な守備)

⚫︎攻撃から守備への切り替えでは何をしたいのか?
例:素早くボールを取り返しに行く)

⚫︎守備から攻撃のへの切り替えでは何をしたいのか?
例:カウンターアタック

※セットプレーについても大まかな考えを持つことをお勧めします。

◉理由を考える

次に、なぜ上記のようなコンセプトを掲げるのか?その理由を考えてみましょう!

例えば、上記の例をもとに考えてみます。
⇨サッカー、ボールを持っている時間が楽しいから。その時間を増やしたい。なぜなら、サッカーが楽しくてやっているわけだから、楽しい時間を増やした方がいい。

以上のことから、私であれば次のようなコンセプトを伝えます。

A:’このチームではボールを保持しながら相手のゴールを攻める。相手よりボールを持っている時間を長くするんだ。だから、ボールを奪われた瞬間には即座にボールを取り返しに行くんだ。攻守の切り替えでは、相手チームよりアグレッシブになるんだ。ボールを奪ったら相手のゴールを素早く攻めるんだ。俺はサッカーはボールを持っている時が一番楽しいと思ってる。俺たちはサッカーを誰よりも楽しむんだ。’

B:’このチームではボールを保持しながら相手のゴールを攻める。守備では、どのチームよりも堅固な守備をするんだ。失点が少ないチームを目指すぞ。リーグにおいて俺たちは多く得点を取れるようなチームじゃない。クリーンシートを目指して、少ないゴールで勝てるチームを目指すぞ。そのために大事なことは、チームがコンパクトになることだ。これらは攻撃でも同じだ。ボール保持者が孤立しないように常にサポートがある状態を作るんだ。攻守の切り替えでは、相手チームよりアグレッシブになるんだ。ボールを奪われたら即座にボールを取り返しに行く、ボールを奪ったら相手のゴールを素早く攻めるんだ。これが俺らが目指すサッカーだ。’

大まかではありますが、実はAは今シーズンのラージョB、Bは今シーズンのモラタラスU19なんです🤭

まず最初にチーム方針とチームのルールを決める

チーム作りのポイント3つ目で、チームのプレースタイルから決めるのではなく、 まず初めにチーム方針とチームのルールを決め、それをもとに大まかなチームのプレースタイルを考えることに目を向けることを話しました。

これには、チームの取り組みの大幅な路線変更を避ける以外にもう一つ理由があります。

その理由とは、「1人の人として振る舞いを学ぶべきだから」ということです。
サッカーの時間には終わりはありますが、人としての時間に終わりはありません。

例えば、日本の場合、高校卒業後に競技としてのサッカーをやめる人が多いです。これは、日本サッカー協会の1種•2種における選手登録人数の違いからもわかります。
しかし、高校生でサッカーを辞めたとしても、1人の人としての人生を辞めることにはなりません。

サッカーを辞めて、違うこと目標に持って頑張る時、仕事を始めてサッカーとは異なる職場で働く時、どのように取り組み、どのように多くの人との関係性を気づくのか、これらのことを考える必要があります。

ですので、チーム方針やチームのルールを考えるときには、サッカーのことだけに目を向けるのではなく、選手たちのチームでの取り組みや態度にも目を向けるようにしてみて下さい。

もちろんだよ!人間形成第一!それができていないのに、サッカーのことなんて話せるわけないじゃないか!

過去にこのような意見をいただいたことがあります。
私がここで話していることは、取り組むことの順番ではありません。
人としての振る舞い・サッカーのチームとしての取り組み、この両方を同時に考える必要があるということです。

どちらか一つが欠けるようなことは好ましくありません。
サッカー指導者を定義つけるとしたら以下のようになるかもしれません。

サッカー指導者=教育者+サッカーを教える人

サッカー指導者=教育者でもなければ、サッカー指導者=サッカーを教えるだけの人でもありません。

以上のことから、チーム作りをする際には、チームのプレースタイルから決めるのではなく、 まず初めにチーム方針とチームのルールを決めようにして下さい。

実際にチーム作りをする

A-指導者が決める

チーム作りをする上でまずは、第一監督・責任者がどのようなチームを作りたいのか、その意思をスタッフ・選手たちに伝える必要があります。

選手の自主性をもっと育みたい!大人が全て決めることは間違ってる!

指導者が全てを決める必要はありません。しかし、選手がゼロから全てを考えることはありません。もしそれをしてしまえば、指導者は何の為にいるのでしょうか?

では、実際にどのようなことを考えるのか、簡単に整理して見ていきましょう!

  1. チームの哲学・アイデンティティ
    =チーム方針・スローガン
  2. チームとしてのルール
  3. チームのプレースタイル
  4. スタッフの役割
  5. 選手に求めること

チームとして方向性、それを支えるチームのルール、チームの哲学をもとに大まかなプレースタイルを決める、ここまではすでに今回の記事の中で話してきました。

これらを決めた後にするべきことは2つです。

◉一つはスタッフの役割を明確にすることです。
*スペインの場合、チームにスタッフが基本的に2人以上います。第一監督と第二監督です。

  • (*モラタラスU19の場合):第一監督、第二監督、フィジカルコーチ、アシスタント、分析官
  • (*ラージョBの場合):第一監督、第二監督、フィジカルコーチ、GKコーチ、アシスタント2名、トレーナー、栄養士、分析官

それぞれのスタッフがいつ・何をするのかについて第一監督が決め、説明します。
⇨(大まかな例:モラタラスU19)
第一監督:責任者・プランニング(年間/各月/各週/各試合)・練習(準備/実践)・自チーム分析
第二監督:セットプレー・練習(準備/実践)
フィジカルコーチ:ウォーミングアップ(練習/試合)・フィジカルテスト
アシスタント:ユニフォーム管理・各試合の選手登録・罰則管理(累積など)
分析官:相手チーム分析・自チーム分析・映像管理・ビデオ作成・試合撮影

◉もう一つは、選手たちに何を求めるかということです。
イメージしやい言葉としては、「罰則」という言葉です。

例えば、週3回の練習のうち2回練習に来なかった場合は、週末の試合に出ることはできないと言ったようなことです。他にも、忘れ物をした場合には、練習に参加できないと言ったことです。

このように、細かなルールを決めていきましょう。
これはチームのルールではなく、選手に対するルールです。

モラタラスの場合、クラブ側がクラブ内におけるすべてのチームに対して、このようなルールを提示し、各チームの指導者たちに選手たちに説明するよう促しています。

ここまでのことを、新チームの活動が始まる前にできていれば、チームの活動が始まってから自信を持って、大きな問題を抱えることなく、シーズンを過ごすことができるでしょう。

B-自主性を育みながら、チーム方針とルールを決める方法

⚫︎ライフツリー

今回紹介する方法は、ライフツリー(下の写真:EL ÁRBOL DE LA VIDA)と呼ばれるものをチーム作りに応用したものです。

このアクティビティの目的は、今いるチームのことを選手たちが分析することです。

進め方
  1. 選手たちを1グループ5人〜7人程度に分ける。
    *このとき、普段話す機会の少ないチームメイトと組むように促しましょう。すでに選手たちの性格を指導者が知っており、選手たちだけでグループ分けをすることは困難だと考えた場合は、指導者がグループ分けを準備しましょう。
  2. 下記の手順に従って、ライフツリーを描いていく。
    ①木の幹(みき)⇨チーム名
    例:ラージョB
    ②木の根⇨アイデンティ・チームを特徴付けるもの【3〜4つ】
    例:ラージョ・セカンドチーム・若い(U23)など
    ③土壌/地面⇨チームの取り組み(振る舞い)【特に大事なものを3〜4つ】
    例:ラージョの育成年代の選手の手本となる振る舞い・向上心・忍耐力など
    ④木の枝⇨希望や望み、目標。
    例:昇格・トップチームに参加・選手としてのステップアップなど
    ⑤木の葉⇨目標を叶える為に必要なこと
    例:無失点・全ての試合で100%の力を出すこと・日々の練習など
    ⑥果実⇨目標を叶えることで得られるもの
    例:家族と喜びを分かち合える・給料が上がる(サッカーで生活ができる)など
    ⑦雲⇨目標を達成する上での障害
    例:敗戦・出場時間の短さ・怪我など
  3. グループの代表者を1人決め、全員の前で発表する。(共有)
  4. 指導者がそれぞれの発表をもとに総括をする。
    *各グループでの共通事項や自分自身が共感できたものについて共有しましょう!

ここで望ましいことは、選手たちの意見が指導者の考えるものが、できるだけ多く共通していることです。全く一緒である必要はありません。

ここで共通した意見をもとに、チームの方針やルールを決めていくことも1つの方法です。

選手たち自身の意見から生まれた方針やルールであれば、より自主性を感じることができるのではないでしょうか?

ここまでさまざまな例をもとに話をしてきましたが、「例=絶対の正解」ではありません。
「あー、こういうやり方もあるんだ。」
「こういう考え方もありだな。」
このように捉えていただき、自分のチーム作りに活かしていだければ幸いです。