サッカー

公式戦の違い〜日本とスペイン〜

公式戦とは?

公式戦とインターネット上で調べると次のように出てきます。

〘名〙 公式の試合。スポーツで、それぞれの競技団体が正式の日程にしたがって行なう試合。プロ野球のペナントレースなど。
※参照:コトバンク

サッカーの場合、FIFA[国際サッカー連盟]、AFC[アジアサッカー協会]、UEFA[ヨーロッパサッカー連盟]、JFA[日本サッカー協会]、RFEF[スペインサッカー協会]などのサッカー連盟や協会が開催する試合や大会が公式戦になります。

そして、これらの公式戦は大きく分けて2種類あります。

-トーナメント

-リーグ

トーナメントの中には、W杯[ワールドカップ]のように予選リーグと組み合わされた大会や、日本の天皇杯やスペインの国王杯のようにリーグによって参加チーム数を変えて行うものがあります。これらの大会は、トーナメント自体を短期間の間に行い、参加チーム数を限定するための予選やトーナメントを長期に渡って行うことが一般的です。

一方で、リーグに関してはリーグによって所属チーム数に違いはありますが、多くの場合16〜22チームほどで構成される1リーグの中で、ホーム&アウェーで各対戦チームと2試合を約1年間にわたって行います。

それぞれの特徴

では、トーメントとリーグ、それぞれにはどのような特徴があるでしょうか。

トーナメント
チームの優劣によって、試合数が異なる。また、勝敗によって試合数が異なる。
例)シード権など

シード権…
競技大会などで、有力な選手・チームにあたえられる権利のこと。予選会の免除や大会序盤の試合の免除など、その内容や取得の条件は競技によってさまざま。
※参照:goo国語辞書

リーグ
各リーグに所属するチーム数に違いはあるが、同じリーグ内であれば行われる試合数は同数。

「トーナメントの大会はイベント性が高く人気がある。」と言った、時や場所によって変わることは、ここでは特徴とはしません。あくまで、それぞれの公式戦の不変的な特徴について記しました。これは今後の話に深く関わってくるので、是非頭に入れておいてください。

公式戦以外の試合

これらの公式戦のほかにサッカーにはどのような試合があるのでしょうか。簡単に見ていきましょう。

  • 紅白戦
    同じチーム内での行う試合[公式戦同様の人数で行うことが一般的だが、例外もある。]
    ※例外:練習参加人数が奇数の場合に、フリーマンを入れるなど。
  • 練習試合[トレーニングマッチ]
    異なるチーム同士で行う試合[公式戦同様の人数で行う]
  • 交流戦
    イベント会社や異なるチームによって共同開催される試合
    サッカー協会に登録していなくても参加可能。練習試合を複数のチームで行うもの。

交流戦に関しては、イベント会社が広告を打って行うものもあるため、公式戦と認識されることがしばしばあります。しかし、フットボールチャットでは公式戦はあくまで「各サッカー協会に登録した上で参加できる各サッカー連盟や協会が主催する試合」とさせていただきます。

日本の主な公式戦

日本の主な公式戦としては下記のものが挙げられます。

プロ
Jリーグ/天皇杯/ルヴァン杯

セミプロ
JFL[日本フットボールリーグ]

アマチュア[第1種]
地域リーグ都道府県リーグ/全国社会人サッカー選手権大会
全国地域大学リーグ/総理大臣杯/全日本大学サッカー選手権大会

ユース[第2種]
高円宮杯JFAU18サッカーリーグ/日本クラブユースサッカー選手権
全国高校サッカー選手権大会/インターハイ[全国高等学校総合体育大会]

ジュニアユース[第3種]
高円宮杯JFAU15サッカーリーグ/高円宮杯JFAU15サッカー選手権大会
全国中学校サッカー大会

ジュニア[第4種]
JFA全日本U12サッカー選手権大会

※参照:Wikipediaフリー百科事典
※赤字はリーグ戦の大会

各カテゴリー[年代]ごとに日本における主な公式戦を簡単にまとめましたが、この一覧を元にここから話していきます。

スペインでサッカーに携わっている私から見て、日本のサッカー界における特徴は下の2点が挙げられます。

❶クラブチームと部活動

❷トーナメントがメイン

❶クラブチームと部活動

日本の場合、「クラブチーム」と「部活動」の両者ともに日本サッカー協会に所属している一方で、それぞれが別の大会を開催しています。代表的なものが、日本クラブユースサッカー選手権と全国高校サッカー選手権大会です。
しかし、高円宮杯JFAU18サッカーリーグのように“高円宮杯”と付く大会では、クラブチームと部活動の両者が参加することもあります。

私が日本に帰国した際に地元でできるだけ多くのチームの試合を見たいと思い、思い当たる地元サッカーチームのホームページを調べました。
その時感じたことは、「週末に試合のないチームがあること」でした。
前者について話す前にまず、ここで言うチームとは「〇〇高校」といった括りではなく、「〇〇高校△チーム」のことを指します。つまり、25人前後で活動する集団を指します。

その上で、「週末に試合のないチームがあること」に驚きました。U15は試合があって、U13は試合がないと言ったことがユース・ジュニアユースの年代で見受けられました。これには日本とスペインのチームで活動の仕方に違いがあることが原因として挙げられると思います。

❷トーナメントがメイン

これから話すことは「主観的な意見」だと揶揄されるかもしれません。
これを念頭において話します。

日本では、トーナメントの試合がメインです。
これを裏付けることは2つあります。
1つは「トーナメントの地上波放送」です。その代表的なものが、“全国高校サッカー選手権大会”や“天皇杯”です。特に高校サッカー選手権大会への注目度は、個人的な観点では異常です。まだ16歳〜18歳という青年に対して浴びせる注目度ではないと思っています。
2つ目は「選手・チームの目標」です。多くのチームや選手たちの目標が「〇〇選手権で全国優勝する」と言ったものです。テレビなどで取り上げられるインタビューなどを聞いていてもリーグ戦よりトーナメント戦を強く意識しているように感じます。その理由の1つとして、「日本1」と言う言葉が一般的に意識されていることが挙げられます。“リーグ戦優勝はあくまで1集団におけるもの、真のNo. 1は日本1”という考えが浸透しているからかもしれません。

一方でスペインではトーナメントの公式戦はシーズン中存在しません。例外は、スペイン国王杯やチャンピオンズリーグなどのプロクラブ・セミプロによって行われる大会です。少なくとも、育成年代[〜U19]においてはトーナメントの試合はほぼありませし、メインではありません。同じカテゴリー内の別グループの1位同士の試合がシーズン最後に行われるくらいです。
スペインでは“1シーズン通して戦い抜いたチームが、優れたチーム”と認識される傾向にあります。そのため、公式戦はリーグ戦がメインです。そして、そこへ全ての熱量をかけます。
これは日本とスペインにおける大きな違いかもしれません。

まとめ

日本:真のNo. 1は日本1
スペイン:1シーズン通して戦い抜いたチームが優れたチーム

スペインの主な公式戦

今話したように、スペインにおける公式戦は「リーグ戦がメイン」です。
付け足すならば、「ほとんどのチーム、特に育成年代・アマチュアにおいてはプレシーズンを除くシーズンにおいては公式戦はリーグ戦のみ」ということです。

例外を上げると、下記のようになります。

  • スペイン国王杯
  • スペインリーグ杯
  • スペイン国王杯[ユース] など

※チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ。

全てプロクラブを主とする大会です。
これら以外であるトーナメントの公式戦は、プレシーズン[シーズン前]に行われる同リーグの少数のチームで行われるものや、先ほど話した同リーグの別グループの優勝チーム同士による試合くらいです。
※(例)1リーグ内に18チームで構成されるグループが2つ。それぞれのグループ[18チーム]で1シーズンホーム&アウェーの試合を行う。シーズン終了時点で各グループの首位にいるチーム同士が試合を行う。

スペインではリーグ戦がメイン、むしろそれしかないと言っても過言ではありません。
そして、1リーグ[1グループ]は16〜22チームほどで構成されます。そのため、1チームの年間の公式戦の数は30〜40試合ほどです。
この数字だけ見ると「少なっ!」と思われるかもしれませんが、これでもシーズン中は毎週末必ず試合があります。クリスマス休暇など年間で2・3回リーグ戦が休みの週もありますが、チームによって練習試合を入れています。

リーグ戦を強く推奨します‼︎

以上が“日本とスペインの公式戦における違い”です。

これらの違いを知った上で、当サイトでは、リーグ戦を強く推奨します。
ここからその理由を説明します。

毎週末全てのチームに公式戦を!

まず、「毎週末公式戦を全てのチームが確保できる」という点からリーグ戦を推奨します。
トーナメントの場合、負けたチームはそこで大会を終えます。一方で勝ち残ったチームは試合数を積み重ねていきます。つまり、決勝に進むチームのみがより多くの試合を得ることになり、その他とのチームと試合数の違いが起こります。
しかし、リーグの場合、試合の結果に関係なく毎週末のように公式戦が行われます。

日本のスポーツ界において「勝敗のみにこだわることは選手を育成する上で、選手に悪影響を与えうる。」という考えがあるかと思います。にも関わらず、メディアをはじめ現状の日本サッカー界の育成年代においてはトーナメントの大会が重要視されています。これはジュニア[第4種・小学生年代]においてサッカー協会が定める公式のリーグ戦がないことからもわかるでしょう。
しかし、こういった意見がある一方で「勝敗にこだわる姿勢がなければ選手は成長しない」という意見もあると思います。

リーグ戦であれば1つの試合に負けたからといってリーグの結果が大きく変わるわけではありません。だからと言って、負け続けてしまえば降格もありますし、逆にたとえ負けが続いてもそこから順位を上げることもあります。

リーグという大会形式は、上記の2つの意見を満たすことができるものだと考えます。「毎試合の勝敗にこだわりつつも、1試合の結果に左右されないものであり、1シーズンを通して結果を求めるもの。」、これがリーグ戦です。
しかし、トーナメントという大会形式ではそうはいきません。なぜなら、負けたらそこで終わりだからです。どうしても目の前の1つの試合の結果に執着することになってしまいます。そうなれば、選手はもちろん、指導者も失敗を恐れ、成長する機会を作り出すことが難しくなってしまいます。

サッカーを文化として定着させる!

「日本にサッカー文化を根付かせる!」という声や「日本のサッカー文化のレベルを定着させる!」という声をしばしば耳にしますが、そもそも文化とはなんでしょうか?

1 人間の生活様式の全体。人類がみずからの手で築き上げてきた有形・無形の成果の総体。それぞれの民族・地域・社会に固有の文化があり、学習によって伝習されるとともに、相互の交流によって発展してきた。カルチュア。「日本の―」「東西の―の交流」
※参照:goo国語辞書

“人間の生活様式の全体”ということは、日常にサッカーが当たり前のようにあるということです。つまり、平日5日間学校があって週末2日間は休みと言ったように、“ある社会・集団に属する人に共通してみられる生活の型。(※参照:goo国語辞書 生活様式)”でなければなりません。

トーナメントような大会では、勝敗によって試合数が異なります。そのため、チームによって週末に公式戦がない状況となり、“生活の型”が崩れます。それでは、日本のサッカー文化をより良くするどころか、定着させることすらできません。
もし日本にサッカー文化を定着させて、それをさらに発展させていくのであれば、“生活の型”として「毎週末に公式戦がある。」という状態を目指すべきだと考えます。

そして、選手の家族や友だち、地域の人々が「週末にサッカーがある」ということを楽しみにして過ごすようになれば、サッカーを日本の文化として定着させたことになるのではないでしょうか。
このような考えからも、フットボールチャットではリーグ線を開催することを推奨します。

※ただし、フットボールチャットとしては、リーグ戦を強く推奨しますが、トーナメントが必要ないということではありません。トーナメントのみを開催することに関してはお勧めできません。

最後に

フットボールチャットでは、夏休みを活かして短期間のリーグ戦を日本で開催することを目指しています。
ご参加に興味のあるサッカーチームの関係者の方や、リーグ開催のサポート等に興味のある企業様がいましたら、下記お問合せページもしくは、InstagramやTwitterのDMからお気軽にお問い合わせください。その際、メッセージ冒頭に「件名:イベントについて」と書いていただけますと幸いです。

お問い合わせページはこちらです。

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