どんな環境でサッカーをしていますか?
皆さんはどんな環境でサッカーをしていますか?
近所の公共施設ですか?それとも学校のグラウンドですか?
またグラウンドは土ですか?それとも芝ですか?
近年では、サッカーの強豪校と呼ばれる高校を中心にサッカー専用グラウンドや人工芝のグラウンドが増えてきています。また、プロクラブのアカデミーが増えたことにより、それらのクラブが運営するサッカーグラウンドも増えました。
以前の日本では、学校の土のグラウンドや地域の河川敷などを利用してサッカーの試合や練習をすることがほとんどでした。人工芝や天然芝でサッカーができるのは、県や地方、全国規模で開催される大きな大会の時ぐらいでした。
以上のことから、日本においてサッカーをする環境はより良くなってきていると思います。
しかし、それでも現状、サッカーをする環境というのは十分なものではないとフットボールチャットでは考えます。
そこで今回は、日本のサッカー環境改善を促進するために、、日本とスペインにおけるサッカーをする場所[グラウンド]の違いに焦点を当てて話していきます。
日本とスペインの現状
日本ではまだ土のグラウンドが多い
2022年夏日本への一時帰国に伴い、地元静岡で行われている公式戦をいくつか見てきました。
その中で、一番驚いたことが、公式リーグ戦を土のグラウンドで開催していることでした。この試合は静岡県の公立高校のグラウンドで行われていました。いくつかの地方自治体で、公立学校の芝生化が進められているようですが、メンテナンスなどの維持費の問題もあり難航しているようです。
しかし、これを理由にサッカーの試合・練習を土のグラウンドで続けることは望ましくないと考えます。少なくとも公式戦に関しては芝のグラウンドで行うことを望みます。
静岡県を例に話します。まず、静岡県には静岡県サッカー協会が出す“静岡県内のサッカー場リスト”があり、その中には計55件の人工芝・天然芝のグラウンドがあります。ただし、これには私立学校のグラウンドは含まれていないので、実際にはこれより多くの芝のグラウンドがあります。これらはサッカー専用グラウンドだけではないので、他の競技と日程が重なってしまえばグラウンドの使用は困難ですが、それでも「芝のグラウンドはない」とは言えないはずです。
他の都道府県に関して詳しくはわかりませんが、2010年に発表された“人工芝ピッチにおけるサッカーの試合が筋損傷に及ぼす影響(順天堂スポーツ健康科学研究 第 1 巻第 3 号(通巻15号),414~420 (2010))”の中では日本には1130件以上もの人工芝グラウンドがあると記されています。この時から既に10年以上の月日が経っています。1都道府県の中に芝のグランドがいつもないということは考えにくいでしょう。
また、経済的な問題や時間帯の問題などの他の原因で公式戦で芝のグラウンドを使用することが難しいことは容易に考えられます。
それを踏まえた上でも、当サイトでは芝のグラウンドで行うことを推奨します。
理由については次の「メリット・デメリット」のところで話します。
スペインでは基本的に人工芝
ここに“基本的に”と記しましたが、これはほどんどが人工芝であり、ごくまれに天然芝のグラウンドがあることを表します。つまり、土のグラウンドというものはありません。
厳密に言うと、土のグラウンドは存在はしますが、そこで練習を行うことはまずありません。また、公式戦を行うこともありません。
次の「メリット・デメリット」のところでも話しますが、スペインではサッカーを主に人工芝で行いますが、そのグラウンドの質を問われるといくつかのグラウンドは決して良いものとは言えません。
例えば、“芝が立っていない”、“ゴムチップの量が多すぎる”、“グラウンドが小さい”などが挙げられます。他にも“ゴール前の芝が剥がれている”など一部芝がなかったり、そこだけ違う芝を貼り付けたりしているところもあります。
もちろん、プロクラブになればそういった問題はまずあり得ませんが、それは日本でも同じことが言えるかと思います。
またスペインでは基本的に、自クラブのサッカーグラウンドを保有しています。市や町の公共施設をホームグラウンドとしているチームもありますが、必ずホームグラウンドが存在します。これは、日本とスペインの大きな違いかもしれません。
図のように、日本ではプロクラブを除いて小学校から大学まで別のクラブ・団体で活動をしているチームが多くあります。これは「部活動」のチームが多いことが理由に挙げられます。
一方で、スペインではほぼ全てのチームが図のように1クラブがジュニア年代から大人年代までチームを持っています。そのため、1クラブで1つのグラウンドを保有し、それを全てのチームがホームグラウンドとして共有しています。そして、このグラウンドは公式戦だけでなく、練習にも使われます。
メリット・デメリット
怪我の危険性
まずこれについて触れたいと思います。
先ほど挙げた“人工芝ピッチにおけるサッカーの試合が筋損傷に及ぼす影響(順天堂スポーツ健康科学研究)”という文献によると、人工芝と天然芝の間には筋損傷のレベルには差がないようです。ただし、人工芝であっても天然芝であっても、土のグラウンドより筋損傷のレベルが小さくなることがこの文献には記してあります。
この研究は、実際にサッカーと言うスポーツにだけ焦点を当てて実施されたものであり、非常に参考になるものだと考えています。
これは筋損傷のみについての研究ですが、擦り傷などの「外傷」については言うまでもなく、芝の上の方が発生の危険性が低いことが言えます。
以上のことから、土のグラウンドより芝のグラウンドの方が怪我の危険性を下げると言う点において優れていることがわかります。
人工芝と天然芝
では、人工芝と天然芝の間にはどのような違いがあるのでしょうか。
1つは、天候による影響です。
日本では、地域により違いはあるものの、雨のよく降る国です。天然芝であれば、雨の日や雨の後はグラウンドがぬかるみます。一方で、人工芝であれば雨の影響は大きくありません。
次に、メンテナンスの方法です。
人工芝の場合、定期的な細かいメンテナンスは不要ですが、数年に一度芝の張り替えをしなければなりません。また、天然芝の場合、芝全体の張り替えは不要ですが、定期的なメンテナンスが必要不可欠であり、芝の育成のために一定期間グラウンドを使用できない場合があります。
そして、これらにかかる施工費や維持費はそれぞれ異なります。
熱中症対策
ここまでの土・人工芝・天然芝の関係性を簡単に表すと、次のようになります。
土 < 人工芝 ≒ 天然芝
しかし、これが次のようになるケースがあります。
土 ≒ 人工芝 < 天然芝
後者のケースというのが、熱中症を考えた場合です。
“グラウンドサーフェイスによるスポーツ傷害と人工芝・天然芝(桐蔭横浜大学医用工学部:飯島健太郎)”という文献の中にある表によると、現地気温が35℃の場合、人工芝と天然芝の表面温度には約20℃の差が出ています。そうなれば、おのずとその状況下でプレーする選手の体感温度にも違いが出ます。
地球温暖化による気温の上昇は、今後サッカーに限らず全てのスポーツにおいて考えるべき問題になると思います。
競技レベルの向上
これらのことから、芝の上でプレーすることは競技レベルの向上にもつながると考えます。
- 怪我を恐れずにダイナミックなプレー
- 雨天下でもグラウンド状態を維持
- 気温の上昇に伴うパーフォーマンス低下を防ぐ など
最後に
フットボールチャットでは、全てのカテゴリー[世代]、異なるレベルのチームが芝のグラウンドでプレーすることを推奨します。
将来的に、日本でさまざまなイベントを開催したいと考えていますが、その際にも芝のグラウンドで行うことを目指します。
スペイン指導者によるサッカー練習会や講習会、リーグ形式の大会の開催などを現時点で考えています。
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