守備から攻撃への切り替えの復習
以前、「守備から攻撃への切り替えを考える」と言う記事で、この局面におけるポイントを抑えました。もし良ければ、こちらの記事もご覧ください。
まずは、この記事で話したことを簡単に復習していきます。
守備から攻撃への切り替えのおけるプレーの種類
- カウンターアタック
…ボールを奪った後に素早く相手ゴールに向かうこと - 安全なパス
…ボールを奪った後に、確実にボールを繋ぐこと
この局面において重要なこと
守備から攻撃への切り替えで重要なこと
- 狭くなっているスペースを広くすること
- ボールを奪ったゾーンからボールを出すこと
カウンターアタックは、ボールを出す方向・ボールをゾーンから出した後のプレーの方向が相手ゴール方向[前方]へのアクションになります。
なので、カウンターアタックができる状況は、ボールを奪った時あるいは、ボールを奪ったゾーンから出した時に、前方にスペースがある時のみです。
そして、カウンターアタックができないあるいは難しい状況においては、安全なパスを選択します。安全なパスを選択する状況とは、ボールを奪った時あるいは、ボールを奪ったゾーンから出した時に、前方にスペースがない時です。
カウンターアタックをしている時に、相手チームが「後退」し、自チームの前進を防いできた時、安全なパスから攻撃への局面へ移行します。
どのような段階があるのか?
守備から攻撃への切り替えを練習する時、どのような段階があり、どのようにレベルアップを図っていくのか、ここからはそれについて話していきます。
①ボールを奪ったゾーンから出す
まず、最初の段階は、「ボールを奪ったゾーンから出すこと」です。
なぜ、ボールを奪ったゾーンからボールを出さなくてはいけないのか?
基本的に、ボールを奪った瞬間には相手がボール付近に多くいます。なぜなら、攻撃の局面においてはサポートが必要であり、ボール付近では数的優位を作ろうとするため、選手が多くいます。そのため、もし仮にボールを奪った瞬間にそのゾーンからボールを出すことができなければ、相手のプレッシャーを受けすぐにボールを失ってしまう確率が高くなります。
基本的には、ドリブルよりパスを使うことの方が、簡単にボールを奪ったゾーンからボールを出すことができます。
ボールを奪ったら、パスでボールを奪ったゾーンから離れる。こうすることで、相手のプレッシャー[即時奪回]を交わすことができる。ボールを再び失うことを避ける。
②方向付けを行う
ボールを奪ったゾーンから出すことができるようになった後は、方向付けを行います。
ボールを奪った瞬間の最優先事項は、安全なパスではなく、カウンターです。
なぜなら、サッカーは相手より多くの点を取ったチームが勝つスポーツであり、相手ゴールを目指さなくてはいけないからです。
ボールを出す方向を縦方向に限定します。
まずは積極的にボールを前に運ぶことにチャレンジしましょう。
③プレーの判断
ボールを奪った後に、カウンターをする意識が付いてきたら、今度はプレーの判断をする段階に入ります。
冒頭で復習したように、守備から攻撃への切り替えの局面には2つのプレーがあります。
カウンターアタックと安全なパスです。
最終段階として、この2つのプレーを正確に判断することを目指します。
判断の基準は、ボールを奪った時あるいはボールを奪ったゾーンからボールを出した時に、前方[相手ゴールのある方向]にスペースがあるかどうかです。
前方にスペースがあればカウンター、スペースがなければ安全なパスを選択します。
カウンターを選択した場合には、相手の守備の「後退」より素早く相手ゴールに向かわなければいけません。しかし、もし相手の守備の「後退」が自チームのカウンターアタックに追い付き、前進を防いだ時、ボールを持っているチームは安全なパスを選択する必要があります。
この「プレーの判断」をトレーニングすることが、最終段階と言えます。
練習メニューの例
今回はミニゴールを使った「守備から攻撃への切り替え」の練習メニューを3つ紹介します。先ほど話したそれぞれの段階に応じて、1つずつメニューがあります。
もし良ければ、参考にしてみて下さい。
*今回は全てのトレーニングを10人で行い、かつ4対4+2フリーマンのトレーニングにしましたが、この後の説明を踏まえて人数を調整してみて下さい。
①ボールを奪ったゾーンから出す
4対4+2フリーマンのボールポゼッション
進め方:攻撃と守備の役割を固定。時間で役割を交代する。
図の場合、🔴が攻撃側、🔵が守備側。
攻撃側は、2人のフリーマン🟡とグリット内でボール保持を行う。一方で、守備側はボールを奪ったら、フリーマンと共に、グリッド外にある4つのミニゴールの内1つにシュートを決めることを目指す。この際に1つルールを課す。ボールを奪ってから、ミニゴールにシュートをするまでの間に必ず最低1回パスをすること。
【ボール奪取➡︎パス➡︎シュート】
ボールを奪われた攻撃側は、即時奪回を目指す。即時奪回ができた時は、そのままボール保持を続ける。
ポイント:
–ボールを奪った後に、パスで相手のプレッシャーを交わすこと。
–ボールを奪った後に、ボールを奪ったゾーン[グリット内]からボールを出すこと。
②方向付けを行う
4対4+2フリーマンのボールポゼッション
進め方:攻撃と守備の役割を固定。時間で役割を交代する。
図の場合、🔴が攻撃側、🔵が守備側。
攻撃側は、2人のフリーマン🟡とグリット内でボール保持を行う。フリーマンは、点線とグリットの間でプレーする。一方で、守備側はボールを奪ったら、両端にいるどちらかのフリーマンにパスをしてから、空いているミニゴールへシュートを決めることを目指す。
【ボール奪取(➡︎パス)➡︎フリーマンへパス➡︎シュート】
どちらかのフリーマンにパスを出した後、目指すゴールを変えることは可能。例えば、手前のフリーマンにパスを出した後、手前2つのゴールが空いていなければ、反対のフリーマンにパスをして、反対のミニゴールを目指すことが可能。ただし、フリーマンがゴールを決めることはできない。
仮に、両端のフリーマンとプレーした後に、ボールを奪った守備側がボール保持をし始めたら、役割を変えて再スタートする。
ポイント:
–ゴールのある方向を目指す。
*このトレーニングでは、ゴール方向にフリーマンがいるため、ボールを奪った際にゴール方向を目指しやすい。
–相手の守備がボールに追い付く前に、素早くゴールを決める。
③プレーの判断
4対4+2フリーマンのボールポゼッション
進め方:このトレーニングでは、攻守を固定しない。連続したプレー。
🔴は図の奥から手前へ攻撃。🔵は図の手前から奥へ攻撃。(攻撃方向固定)
フリーマンは、グリッドの各サイドライン上でのみプレー。
🔴がボールを持っている状況からスタート。攻撃側パスを10本つないだ後に相手ゴールを目指すことができる。一方で、守備側🔵は、ボールを奪ったら、まずカウンターアタックを目指す。しかし、前方にスペースがないあるいは、前方に走り込む選手がいない時、つまり前進できない時、ボールを保持する。ボールを奪った後、パスを10本つないだら相手ゴールに攻めることができる。これを連続して行う。
🔵がボールが奪ったボールを、🔴が奪い返したら、まずはカウンターアタックを目指し、前進できなければボール保持を行い、10本パスをつないだら相手ゴールを目指す。
ポイント:
–プレーの判断[カウンターアタック/安全なパス]
*フリーマンが両サイドにいる状況。今度は、ゴール方向に常にパスコースがある状況ではないので、前方にスペース・パスコースがあるかどうかを判断する必要がある。
–前進できない時に、慌てて攻撃しない。
*前進できない状況でもなおカウンターアタックを続けようとすれば、ボールを失う可能性が高まる。前方にスペースがない状況では、安全なパスから攻撃へ移行し、ボールを保持しながら、相手ゴールを目指す機会を探す。そのプレーを引き起こすための「10本のパス」と言う制限。10本でなくても、このプレーを引き出すことができるのであれば問題はない。
最後に
今回は、守備から攻撃への切り替えにおける練習の段階について話しました。
また、それを踏まえてミニゴールを使ったトレーニングを3つ紹介しました。
次回は、ミニゴールを使わずに行えるトレーニングをいくつか紹介します。
チームによっては、ミニゴールやそれを代用するコーンがなかったりします。あるいは、指導者が1人しかおらず、ミニゴールへのシュートをして、外した時にボールを回収しきれないと言うこともあります。
そのような状況でも守備から攻撃への切り替えにおける練習ができるように、ミニゴールを使わない、ゴールへのシュートを含めないトレーニングについて話していきます。
そちらの記事にも、目を通していただけたら、幸いです。