(グラウンド)
- 技術的トレーニング
(3人目の動き•3人目の選手) - ボール保持11対6
- ゲームプラン
(主にこれまでの復習) - ゲーム
ラージョの基本的な練習の流れは、まず技術的トレーニングから始まります。今日は木曜日なので、ゲームプランなどフィールドを全部使ったフルピッチのゲームの時間を長く取りました。
なぜ、木曜日にフルピッチのゲームの時間を長く取るのか?
これは選手たちの疲労度、体への負荷をコントロールすることと関係しています。
(ここからは日曜日に試合がある前提で話をします。)
試合の日に近づくほど、負荷を落としていきます。つまり、試合前日の練習の負荷はほぼゼロに近い内容、試合2日前の練習は試合前日の練習よりは負荷が高く、平日にある練習の中では最も負荷が低い練習となります。
では、3日前の木曜日はどうするのか?
基本的には水曜日に練習の負荷を上げ、木曜日はそれよりも負荷を下げますが、試合に近い強度を求めます。各曜日の練習のフィジカルコンディションにおけるテーマは次のように示すことができます。
曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | (土) | 日 |
テーマ | 回復 | OFF | パワー | 持久力 | スピード | (活動) | 試合 |
*あくまでも、これは週に5日練習する場合です。
【プロレベルのチーム】
*シーズンを通して週に4日練習する場合は、一般的には土曜日の練習がなくなります。
【各カテゴリーにおけるトップレベルのチーム(15歳以上)】
*スペインの場合、週3日練習することが一般的なので、この場合回復の日をなくして、パワー•持久力•スピードとテーマを定めることになります。
持久力をテーマにした時、各メニューのスペースはより広いものとなり、より試合に近いスペースでトレーニングをすることになります。そのため、多くのチームが木曜日にゲームプランをフルピッチで確認します。
ちなみに、ラージョとモラタラスの私が所属する2つのチームは基本的にこの考え方です。
その上で、今日のラージョの練習内容を見ていきましょう。
技術的トレーニングでは、ラージョの場合3人目の動きを含むパス&コントロールのメニューを多く用います。これは、チームとしてボールの動きのリズムを非常に重要視しているからです。
次のボール保持では、各選手がプレーするポジションに応じて、チームを2つに分けます。このチーム分けは、そのまま次のゲームプランのチーム分けにもなります。
チーム分けを各メニューごとにすると、トレーニングする時間が少なくなることがあります。それを避けるために、各メニューのチーム分けをある程度一緒にすることがあります。今回はその一例です。
今回のボール保持は、10対6の状況で行います。守備側の選手は約1分~1分半の間、全力でボールを奪いにいきます。時間になったら、待機している残りの守備側選手と入れ替わります。この時、2人の選手が繰り返しボールを奪いに行くこととなります。
ボールを奪いに行く約1分~1分半の間の負荷はかなり高いですが、その後休憩する時間があります。守備における強度は、試合と同等のものを求めます。スペースは、縦がペナルティエリアからハーフウェーライン、横がペナルティエリアの幅となります。
ボールを保持を終え、ゲームプランのトレーニングへと移りました。今日の練習では、主にこれまで行ってきたことの復習を行いました。
- 相手チームのゴールキックからの再開の際に、どのようにプレッシャーをかけるのか?
- プレー中はどのように守備をするのか?
- 自チームよゴールキックからの再開の際に、どのように相手チームのプレッシャーをかわし、前進するのか?
この3つの中でも、特に今日は①と②の守備にフォーカスを当てて復習しました。
いくつか連続して、各内容を確認したのち、そのまま11対11のゲームへと移りました。ゲームを15分ほど行い、今日の練習を終えました。
(グラウンド)
- フィジカルコーチとウォーミングアップ
- 2グループに分かれてトレーニング
-ビルドアップの形式的なトレーニング
-フィジカルトレーニング - ボール保持
- GKありのボール保持
- ゲーム
まずはフィジカルコーチと10分ほどのウォーミングアップをしてから、今日の練習を始めました。その後、2グループに分かれました。
1グループは、第一監督•第二監督、そして私とビルドアップに関する形式的なトレーニングを行いました。
形式的なトレーニングとは、相手を配置せず自チームのみで行うトレーニングです。
このトレーニングは、ビルドアップにおける選手の動きや守備における選手の動きを確認する時に非常に効果的です。ただし、相手がおらずまた、決まった動きをすることになるので、選手たちからするとつまらないメニューになりやすいです。
形式的なトレーニング
- メリット: 自チームの選手たちの動きを確認しやすい。
- デメリット: 選手たちにとってつまらない練習になりやすい。
ただし、このようなメニューをする時の注意点は、ただ選手たちの動きだけを説明するのは避けなければいけないということです。
では、何をしなくてはいけないのか?
それは、なぜその動きをする必要があるのかという理由を説明することをしなくてはいけません。
例えば、今日の練習の場合ビルドアップの話をしました。その中の1つの動きで、トップ下の選手がアンカーの位置までボールを受けに行き、この時にサイドバック選手は高さを取り、ウイングの選手は中央へポジションを取ると言うものがあります。
この時、なぜトップ下の選手はアンカーの位置までボールを受けに行くのか、トップ下の選手が下がってきた時になぜサイドバックは高さを取るのか、ウイングは中央にポジションを取るのか、これらの動きによってどのような効果が生まれるのか、プレーの判断の要素は何になるのか、と言ったことを必ず説明する必要があります。
君はこうして、君はああでとただ形だけを伝えるだけでは不十分です。選手が、その動きの目的を考え、フィールド上で自分の頭で考え、判断できるようにらなることが重要です。
そして、「自由を与えること」と、「考えさせること(頭を使わせること)」を混同しないで下さい。
サッカーはどこまでいっても、チームスポーツです。各々が自由に考えていては、チームは機能しません。そこに規律と基準を与えることがサッカー指導者の仕事です。そして、選手たちはその規律と基準をもとに、フィールド上で自分の頭で考え判断をするのです。そして、この判断が正しいものなのかどうかを判断することもサッカー指導者である私たちの仕事です。
これらの仕事を怠ることは、サッカー指導者の仕事をしていないことと同義と考えます。
話が少しそれましたが、ここで話を戻します。
1グループがビルドアップの方形式的なトレーニングをする一方で、もう1グループはフィジカルコーチと別のメニューを行いました。このメニューは、フィジカルコーチが監修しています。
両グループが各メニューを終えた後、ボール保持、GKありのボール保持と練習を進めました。この2つのメニューの違いは、守備側がボールを奪った後のアクションです。
ボール保持では、四つ角にそれぞれミニゴールが置いてあります。守備側はボールを奪ったら、その内の一つへシュートを決めることを目指します。一方で、GKありのボール保持では、ボールを奪ったら、GKのいるゴールへシュートを決めることを目指します。
なぜ、ほぼ同じようなオーガナイズでこのような違いがあるのか説明します。
今日はGKコーチに30分ほどの時間を与えて、GKのトレーニングをしてもらいました。そのため、合流までに時間がありました。週4回の練習のうち、GKコーチが来るのは3回です。第一監督が準備するメニューに応じて、GKコーチに時間を説明します。15分ほどの日もあれば、2人のGKが交互に入れ替わりながら行うような場合もあります。
これが一つ目の理由です。
もう一つは、トレーニングを発展させる目的があるからです。攻撃方向を限定しないメニューから攻撃方向を固定したメニューへの発展です。
参考までにどのようなメニューを行ったのかを図とともに簡単に下記に示します。
最後にゲームをして、今日の練習を終えました。