サッカー

攻撃から守備への切り替えを考える

サッカーには4つの局面がある

「サッカーの基本を抑える」
この記事の中で、サッカーには4つの局面があることを話しました。

「攻撃」「守備」
そして、「攻守の切り替え」です。

さらに、この「攻守の切り替え」には、
「攻撃から守備への切り替え」と「守備から攻撃への切り替え」があります。
今回は、「攻撃から守備への切り替え」について話をしていきます。

「攻撃はこうする!守備はこうする!」
と、このように2つの局面について細かく考えている指導者は多いです。しかし、忘れがちなことが攻守の切り替えという局面です。
今回の記事を機に、もう一度サッカーのすべての局面を考えていただきたいです。

では、本題に入っていきましょう。

まずは復習!

まずは、「攻撃から守備への切り替え」の局面におけるプレーの種類を復習しましょう。

  • 即時奪回
    …ボールを失った後に、できるだけ早くボールを取り返すこと
  • 後退
    …ボールを失った後に、後ろに下がり相手チームの前進を遅らせること

2014年ブラジルW杯のドイツ優勝をきっかけに「ゲーゲンプレス」という言葉が浸透しました。今でも、日向坂46の影山優佳さんがキャッチコピーに用いるほどです。

このゲーゲンプレスのゲーゲンはドイツ語で「対立」を意味する単語のようです。つまり、直訳は「対プレス」となるようです。これをサッカーに当てはめると、相手のプレッシャーを受けてボールを奪われた後に、すぐプレッシャーを欠けてボールを取り返すことだそうです。つまり、当サイトで言う「即時奪回」です。
*私は、ドイツにいたことがないので確証はありませんが、調べたところによるとこのように出てきました。

なぜ、ここでこの話をしたかというと、日本のほとんどのチームがこのゲーゲンプレス、即時奪回を「攻撃から守備への切り替え」において選択しているからです。

ではここで質問です。

「攻撃から守備への切り替え」の局面で、即時奪回を目指すことはサッカーにおいて必ずすべきことでしょうか?

 

答えはいいえです。

チームコンセプトとして、攻撃から守備への切り替えで「即時奪回」を選んでいるチームであれば、それは最優先事項になるでしょう。しかし、“サッカーにおいて”となった時には話が変わります。
攻撃から守備への切り替えの局面で「後退」することは、ネガティブ・消極的なことではなく、それを実行することが適切と考える根拠があるからするのです。
サッカー指導者は、この片方ではなく、両方を知識として抑えておく必要があります。

 

攻撃と守備

「攻守の切り替え」の局面で忘れてはいけないことは、「攻撃」と「守備」です。

この2つの局面を瞬間的に含むものが、攻守の切り替えです。そのため、攻撃と守備、それぞれの局面についてやるべきことを考えなくてはいけません。
それは簡潔に言うと以下のことです。

攻撃:スペースを広くする 守備:スペースを狭くする

攻撃に関しては、スペースを広く使うことが重要です。
これは「ボールを保持するために必要なことは?」と言う記事でも話しました。
一方、守備に関しては、「守備において理解しておかなくてはいけないこと」と言う記事で伝えたキーワード「スペース」を思い出してください。守備で重要なことは、このスペースをどのように管理するかと言うことでした。
これをさらに簡潔に言うと、「スペースを狭くする」となります。
ボールを中心に選手が動いた時[ボールを奪いに行き、空いたスペースを埋めた時]、おのずとボール周辺のスペースは狭くなります。

これを踏まえて、「攻撃から守備への切り替え」について簡潔に話します。

つまり、攻撃から守備への切り替えで重要なことは
「広がっているスペースを狭くする」と言うことです

 

どこのスペースを狭くするのか?

攻撃から守備の切り替えで重要なことはわかりました。
では、今度は「どこのスペースを狭くするのか」と言う考えのもと、種類を分けてみましょう。

後方のスペースを狭める

まずは「後退」について説明します。

  • 後退
    …ボールを失った後に、後ろに下がり相手チームの前進を遅らせること

これがまず定義です。

なぜ後ろに下がるのか?

それは守るべきスペースが後ろにあるからです。

*この守るべきスペースについては「守備において理解しておかなくてはいけないこと」と言う記事で詳しく説明しています。

つまり、
「後退」とは、自陣ゴールのある後方のスペースを狭めること
を意味します。

とはいっても、相手ボール保持者にプレッシャーをかけなければ、自由にプレーをさせてしまうじゃないか!

では、2つ質問をします。

質問❶:攻撃における一番のリスクとはなんですか?

質問❷:あなたは、相手が待ち伏せしているところに闇雲に突っ込みますか?

 

 

 

 

 

(質問❶:攻撃における1番のリスクとはなんですか?)
-攻撃における最大のリスクは、以下のことです。

攻撃における最大のリスクとは、
相手にボールを奪われ、自陣ゴールに攻められること

攻撃から守備への切り替えについて考えているので、すでに相手にボールを奪われた状態です。つまり、ボールを奪われた時、次の目的は自陣ゴールに攻められることを防ぐことです。

おいおい、さっき攻撃から守備への切り替えで重要なことは「広がっているスペースを狭めること」だって言ったじゃないか!どっちなんだよ!

ごもっともな意見です。ですので、整理しましょう。

攻撃から守備への切り替え

目的:自陣ゴールに攻められることを防ぐこと。[相手の前進を防ぐ]

実行:広がっているスペースを狭めること。

いかがでしょうか?
攻撃から守備への切り替えの局面での、目的は「自陣ゴールに攻められることを防ぐこと」、そのために実行しなければいけない重要なことが「広がっているスペースを狭めること」となります。つまり、「目的」と「そのために実行すること」の違いです。
*導入にサッカーのそれぞれの局面について整理したので、このような手順になりました。

では、どのように相手の前進を防ぐのか?
「後退では、後方のスペースを狭めて、自陣ゴールに攻められることを防ぐ」
ここまで抑えました。
その上で、質問❷の答えを見ていきましょう。

 

(質問❷:あなたは、相手が待ち伏せしているところに闇雲に突っ込みますか?)
-答えは「いいえ」です。
もちろん、例外はあります。負けている状況で試合の残り時間が短い時などです。
それでは、説明していきます。

相手が目指すゴールは、自陣ゴールラインの中央にあるたった1つのゴールです。つまり、目的地は1つです。そして、「後退」とは、その目的地へのスペースで待ち伏せをすることです。
目的地への道を塞がられた相手は、「前進」をやめ、ボールを保持し始めます。

「相手が前進をやめた」と言うことは、「自陣ゴールに攻められることを防ぐことができた」と言うことです。
攻撃から守備への切り替えの目的を達成しました。

「後退」では、相手の前進を防いだ後、「守備」の局面へ移行します。

 

ボール付近のスペースを狭める

次に、「即時奪回」について説明していきます。

  • 即時奪回
    …ボールを失った後に、できるだけ早くボールを取り返すこと

これがまず定義です。
つまり、即時奪回では「攻撃から守備への切り替えにおける目的[相手の前進を防ぐ]」に加えて、ボールを取り返すことまで目指します。

❶ボールを奪われる
   ⬇︎
❷相手の前進を防ぐ
   ⬇︎
❸ボールを奪い返す

この順番が変わることはありません。
それでは、さらに詳しく「即時奪回」について見ていきましょう。

「できるだけ早くボールを取り返す」ために選手たちは、何をしなければいけないでしょうか?
簡単です。
ボールを奪いにいかなくてはいけません。

ボールを奪いに行く
これがポイントです。

つまり、

「即時奪回」を目指すことは、ボール付近のスペースを狭めること

を意味します。

「即時奪回」では、まずボール付近のスペースを狭めることで相手の前進を防ぎます。
その上で、ボールを取り返します。
繰り返しますが、この順番が変わることはありません。

 

ここで、質問です。

ボール付近のスペースを狭める一方で、逆にどこにスペースが生まれるでしょうか?

ボールを奪いに行くとは何を意味するでしょうか?
「守備において理解しておかなくてはいけないこと」と言う記事で話したことを思い出してください。

記事の中では、次のように定義しました。

ボールを奪いに行くということは、本来守るスペースを放棄するというリスクを冒して、相手選手に対してプレッシャーをかけること。

つまり、「即時奪回」というプレーは、リスクを冒しながら実行することなのです。

ボール付近のスペースを狭める時に空くスペース[ボールを奪いに行く選手が本来守るべきスペース]を他の選手が埋めることも重要です。そして、この空いたスペースをチームとしてどのように管理[マネイジメント]するのかまで考えなくてはいけません。
ここまで目が届いて、「即時奪回」を分析することができます。

「守備」の局面の復習とともに、即時奪回についても考えてみてください。

「即時奪回」では、いつ「守備」の局面へ移行するのか?
これについては、次の項目で話していきます。

「即時奪回」と「後退」のミックスはあるか?

実はこの質問、私が所属するスペインのクラブの指導者間の集まりで実際に出た議題なんです。
ちなみに、参加していた指導者全ての答えが「ある」でした。

当サイトでも、答えは「ミックスはある」としています。

なぜか?

これについて説明します。

まず、即時奪回の最後で1つ問題を残していました。
「即時奪回」では、いつ「守備」の局面へ移行するのか?
これについての説明が、そのまま「ミックスがある」ことを説明することにつながります。

即時奪回は次の手順で進みます。
「ボールを奪われた」➡︎「相手ボール保持者とその付近にプレッシャーかける」「相手の前進を防ぐ」➡︎「ボールを奪い返す」
そして、この手順が変わることはないと、繰り返し話しました。

つまり、「ボールを奪い返す」➡︎「相手の前進を防ぐ」はないと言うことです。

いやでも、奪い返しにいかないと、相手の前進を防ぐことはできないでしょ笑笑

確かにそうです。
しかし、ここで言いたいことは、「相手がすでに前進しているのにも関わらず、ボールを奪いに行くことはない」と言うことです。

ボールを奪い返すために相手にプレッシャーをかけに行く、しかし相手にそのプレッシャーをかわされ、相手が前進できる状況になった、この時チームは「後退」を選択しなければいけません。
なぜなら、攻撃から守備への切り替えの目的は「相手の前進を防ぐ」が、第一にあるからです。
そして、相手の前進を防いだ時に、「守備の局面」へ移行します。
もし「後退」をしなければ、相手の前進をそのまま許し、自陣ゴールにより近づかれてしまいます。

図で、ここまでの話を整理しましょう。

 

最後に

今回、少し話が長く複雑だったかもしれません。
それは、攻守の切り替えというものが、攻撃と守備の2つの局面の要素を持ち合わせていることと、今回「即時奪回」と「後退」の2つを一気に説明したためです。

冒頭にも伝えましたが、攻守の切り替えは多くのサッカー指導者が忘れがちなことです。
例えば、練習メニューを作成している時、あるいは練習中に、攻守の切り替えについての説明がない場合、それは攻守の切り替えについて意識を向けることができていないと言うことです。

チームコンセプトを作る、練習メニューを作る、自チーム・相手チームを分析する、あらゆる状況で、サッカーの4つの局面全てを考える必要があります。
当サイトの記事をきっかけに思い出していただければ幸いです。