サッカー

悩んだらこの練習メニュー

 今回のテーマ

今日の練習何をしようか?

チーム活動が始まったばかりで公式戦などの試合がなく、チームや選手についてよくわかっていない、トレーニング構築するための分析対象となるものがないと言ったときなど、練習メニューに困ったときに使えるトレーニングを今回紹介していきます。

技術•戦術・フィジカル・メンタル、サッカーにおける全ての要素、また攻撃・守備・攻守の切り替えと言った全てのサッカーの局面の要素を含んだものとなっています。
加えて、トレーニング内容はどの年代でも理解できるような簡単なものになっています。

仮に選手たちがこれらのトレーニングを理解できなかったとしても、気にしないでください。現時点での選手たちのサッカー理解度を知ることができ、これをもとに今後のトレーニングの時間配分などを考えていくことができます。
例えば、ボール保持のルールを理解することに苦戦するようであれば、最初の5分をルール理解のためにプレーしてもらい、残りの10分で具体的な指導を含めてトレーニングしていくと言ったように計画を立てることできます。

それじゃあ、練習のための練習じゃないか!

ごもっともです。
ただし、サッカー理解度を高める過程で、サッカーの基本戦術やチーム戦術を含めたトレーニングを行うことは必要です。最初のうちは時間がかかっても徐々に、練習を理解することにかける時間より、トレーニングする時間の方が長くなります。

準備されたトレーニング

指導者として初めてのトレーニングや新チームでの最初のトレーニングでは、チーム分けや選手の名前を思い出しながら説明することなどが原因で、想像以上に時間がかかることがあります。これによって、練習時間に対してプレーしている時間が少なくなってしまうことがあります。

そのため、できるだけ選手たちが止まっている時間を減らす努力をしてみましょう。
そして、この努力の1つとして挙げらることが、その日行う全てのトレーニングを選手たちがグラウンドに入れる前に準備しておくことです。

ここで言う“準備”とは、マーカーやコーンなどをあらかじめ置いておくことを言います。
下記の図を見てください。
*11人制のグラウンドの中に、黄色の線で2つの8人制のグラウンドが記されています。

11人制のグランドの右半面のさらに半分、つまり11人制のグラウンドの4分の1のスペース、8人制のグラウンドの反面に全てのトレーニングが“準備”されています。
*主に8人制サッカーのチーム対象(フィールド14名+GK2名=16名)

一方で、11人制のグランドの左半面にも同様に全てのトレーニングが“準備”されています。
*主に11人制サッカーのチーム対象(フィールド20名+GK2名=22名)

*略語の説明
-WP(GK) : GKのウォーミングアップ
-TR①:トレーニング1
-TR②:トレーニング2
-*TR②: トレーニング2。ただし、時間がない場合は省くことがおすすめ。

このように準備しておくことで、1つのトレーニングが終わった後に、選手たちが次のトレーニングの準備を待つ時間がなくなります。
各トレーニングが終わった後に、選手たちに対して「今使った道具だけ片付けて」とお願いすれば、すぐに次のトレーニングに移ることが可能です。

各トレーニングの説明

全体の流れ

4分の1のスペースの場合

TR①:パス&コントロール
*図TR①-A/図TR①-B/図TR①-C

TR②:5対2のボール保持(GKを含む)
※図TR②-A
TR②:2対2+3フリーマンのボール保持(GKを除く)
※図TR②-B
2つの内1つを2グループに分かれて行う。

TR③:2対1→2対2→3対2の攻守の切り替え
※図TR③(TR④のゲームと同じ方向•スペースで行う)

TR④:8対8のゲーム(例: 1-2-3-2vs1-2-3-2)

2分の1のスペースの場合

TR①:パス&コントロール
図TR①-A /図TR①-B

*TR②:2対2+3フリーマン(GKを除く)
※先ほどの図TR②-B
2グループに分かれて行う。

TR②:7対7+8フリーマンのボール保持(GKを含む)
*図TR②-A
TR②:7対7+6フリーマンのボール保持(GKを除く)
*図TR②-B
2つの内1つを行う。

TR③:2対1→2対2→3対2の攻守の切り替え
※3対2から始め、3対3→4対3としてもOK!
※先ほどの図TR③(方向は11人制•幅は11人制のペナルティーエリアの幅もしくは8人制のペナルティーエリアまで)

TR④:11対11のゲーム(例: 1-4-3-3vs1-4-3-3)
*方向は8人制

 

目的と進め方

パス&コントロール

目的:技術トレーニング
➡︎パスとコントロール(①)➡︎ワンツー(②)➡︎3人目の動き(③)

進め方:一般的な四角形のパス&コントロールのトレーニングです。
①-A
: パスを出したら、パスを出した先に移動します。右回りと左回りを行います。
ポイントは2つです。
①ボールを受ける前にコーンから2•3歩離れる。(予備動作)
②2タッチでプレーする。
①-B: パスを出したら、素早く味方に近づきサポートをしにいきます。この時、ボールを受けた選手とワンツーをします。これを繰り返します。Aと同様、右回りと左回りを行います。
ポイントは2つです。
①サポートに行くアクション•ワンツーでボールをもらう時のアクションを素早く行う。
②1タッチでプレーする。
①-C : パスを出したら、Bと同様にサポートをしにいきます。この時、ボールを受けた選手からリターンパスを受け、さらに次のコーンにいる選手にパスを出します。これを繰り返します。選手のローテーションの順番は変わりません。右回りと左回りを行います。また、ポイントはBと同様です。

ポイントでタッチ数について話しましたが、あくまで目標です。
ボールが浮いてしまったり、パスがずれて2タッチあるいは1タッチでのプレーが難しい時は、一度ボールをコントロールしてから次のプレーに移るようにしましょう。
*尚、TR①-Aの2タッチを1タッチで行うことはおすすめしません。理由として、パスだけではなく、コントロールのトレーニングも行いたいからです。
一方で、予備動作やサポートのアクションなど、ボールには触れないプレー(オフ•ザ•ボール)については、しつこいほどに要求をしましょう。


目的:技術トレーニング

進め方:
①-A :
上図に記されている数字の順番にボールと人が動いていきます。
手前のコーンにいる選手(2)へパス、ボールを受けた選手はコントロールして次の選手(3)にパスを出します。この時のポイントは2つです。
1つは予備動作、もう1つは2タッチでプレーすることです。予備動作ではコーンから少し離れて、体の向きを作りましょう。(*ボールとパスを出す相手が同時見える体の向き)
3の選手は次の選手(4)にパスを出します。この時も2タッチでプレーすることも求めましょう。これを反対からも行います。
左回りと右回りで行います。左回りの場合スタート位置は上図の3と6の選手になります。
①-B :
上図に記されている数字の順番にボールと人が動いていきます。
手前のコーンにいる選手(2)へパス、ボールを受けた選手からリターンパスを受け、さらに次の選手(3)へパスを出します。リターンパスを出した選手(2)は、素早く次の選手(3)のサポートへ行きます。選手2と3でワンツーを行い、選手は3は次の選手(4)へパスを出します。これを反対からも行います。
左回りと右回りで行います。左回りの場合スタート位置は上図の3と6の選手になります。
ここでのポイントは、リターンパスを出した後のサポートのアクションです。

ボール保持

目的:戦術トレーニング
➡︎ボール保持(攻撃•守備)

進め方:
②-A : 5対2のボール保持を行います。守備は時間で交代します。
守備側はボールを奪ったら、素早くボールを攻撃側の選手渡し、プレーを再開します。
◉攻撃をメインで行う場合のポイント
①シンプルに少ないタッチでプレーすること。
→数的優位な状況でのボール保持。
フリーの選手を見つけて、その選手と素早くプレーすること。

②スペースを埋めること。全員がボールに近づかないこと。
→4辺に1人ずつ+中央に1人の形を崩さない。
③パスコースを作ること。
→ボール保持者に対してパスコースを作るために、数歩でも動くこと。
◉守備をメインで行う場合のポイント
①2人の守備の間を通るパスを防ぐこと。
→闇雲にボールを奪いに行くのではなく、パスコースを外側へ制限すること、
②ボールの移動中に素早くボールを受ける選手にアプローチすること。
→ボールが外側の選手に移動するときにボールを奪いに行く。
③ボールを奪いに行った選手に対して、もう1人の選手も連動して動くこと。
→カバーではなく、次のボールの移動に備える。ただし、ポイント①を忘れないこと。

②-B : 2対2+3フリーマンのボール保持を行います。
役割は時間で交代します。バリエーションとして、フリーマンを除く2対2の攻守の入れ替えを時間ではなく、プレーの中で行うことを考えておきましょう。つまり、ボールを奪ったら、攻守の切り替えです。これは、選手のレベルに応じて決めてみましょう。
長方形が2つのゾーンに分かれているトレーニングです。ボールのあるゾーンでは常に4対2の状況を作ります。攻撃側は、ゾーンの中で4本以上のパスを繋いだら、反対のゾーンへボールをパスで移動します。
*プレーの中で攻守の入れ替えを行う場合、ボールを奪ったチームはボールを奪ったゾーンとは反対のゾーンへボールをパスで移動させ、ボール保持を行います。この時、ボールを奪った後に素早く広がることを要求しましょう。
(攻守の切り替え)
*一方で、ボールを奪われたチームに対しては、ゾーンを変えられる前に即時奪回を目指すように伝えましょう。
(攻守の切り替え)

◉攻撃をメインで行う場合のポイント
先ほどの②-Aでのポイントに加え、次のことを意識するようにしてください。
-ボールが反対のゾーンに移動した時、ゾーンを移動する2人の選手は素早くサポートのアクションを行うこと。

◉守備をメインで行う場合のポイント
先ほどの②-Aでのポイントに加え、次のことを意識するようにしてください。
-ボールが反対のゾーンに移動した時、ゾーンを移動する2人の選手は素早くゾーンへ移動すること。この目的は、ボールが2つのゾーンを行き来することを防ぐこと。
(プレーの制限)

目的:戦術トレーニング
➡︎ボール保持(攻撃•守備•攻守の切り替え)

進め方:
②-A : 7対7+8フリーマンのボール保持
四角形を4つのゾーンに区切ったトレーニングです。各辺に2人ずつフリーマンがいます。
守備側はボールを奪ったら、フリーマンと共にボール保持を行います。フリーマンはGK+6人1グループで、グループは時間で交代します。
◉攻撃をメインで行う場合のポイント
①シンプルに少ないタッチでプレーすること。
→数的優位な状況でのボール保持。
フリーの選手を見つけて、その選手と素早くプレーすること。
②スペースを埋めること。
→4つのゾーンそれぞれに選手がいるようにする。
→フリーマンや他の味方選手とポジションが重ならないようにすること。
③パスコースを作ること。
→ボール保持者に対してパスコースを作るために、数歩でも動くこと。
*+)相手の背後でボールを受けること。

◉守備をメインで行う場合のポイント
①積極的にボールを奪いに行くこと。
→短い時間で常にチーム全員でボールを奪いに行くこと。
②チームをコンパクトにすること。
→ボールに近い相手から制限をかけていく。ただし、1人の選手に対して2人以上の選手がボールを奪いに行かないこと。なぜなら、既に数的不利な状況でこのアクションを行うことで、相手により多くのフリーの選手をつくらせてしまうから。
③特にロングボールに対して、ボールの移動中に素早くアプローチすること。
→チームをコンパクトにすることによって、ボールから遠い位置にフリーの選手を置くことになる。この選手にロングボールでのパスが渡る時、ボールの移動中にチーム全体がボール方向に移動する。ポイント②を忘れないこと。

◉攻守の切り替えをメインで行う場合のポイント
①ボールを奪った後に素早く広がること。
②ボールを奪われたチームは、ボールを奪われたゾーンで即時奪回を目指すこと。

②-B : 7対7+6フリーマンのボール保持
四角形を2つのゾーンに区切ったトレーニングです。手前と奥の辺に2人ずつ、両サイドの辺に1人ずつフリーマンがいます。ボールのあるゾーンで7対7+4フリーマン、11対7の状況です。攻撃側は、5本以上のパスを繋いだら反対のゾーンへパスで移動します。守備側はボールを奪ったら、ボールを奪ったゾーンとは反対のゾーンへパスでボールを移動させた後、ボール保持を行います。

◉攻撃をメインで行う場合のポイント
①シンプルに少ないタッチでプレーすること。
→数的優位な状況でのボール保持。
フリーの選手を見つけて、その選手と素早くプレーすること。
ボールが反対のゾーンに移動した時、素早くサポートのアクションを行うこと。

◉守備をメインで行う場合のポイント
②-Aのポイントに加えて、次のことを意識してください。
ボールが反対のゾーンに移動した時、選手たちは素早く反対のゾーンへ移動すること。

◉攻守の切り替えをメインで行う場合のポイント
①ボールを奪った後に素早く広がること。
②ボールを奪われたチームは、ボールを奪われたゾーンで即時奪回を目指すこと。

 

TR②の中では、ゾーンを変えるためのパス本数について紹介しましたが、これは目的によって変えることできます。
例えば、ゾーンの行き来を頻繁に引き起こしたい、つまりプレー強度をより高めたいと言う場合にはパスの本数を少なめに設定流することが必要です。一方で、プレー強度をそこまで求めたくない、ゾーンの行き来といった長い距離のスプリントを減らしたい場合はパスの本数を多めに設定するといいでしょう。
プレー強度をそこまで求めたくないケースとして考えられることは、試合前日や翌日、

2対1→2対2→3対2の攻守の切り替え

目的:戦術トレーニング
➡︎カウンター/リトリート(攻守の切り替え)+フィニッシュ(攻撃)

進め方:
*0-1vs0の状況から始めてもらっても構いません。上図の真ん中にいる赤の選手が、最初にボールを持って自陣ゴールの脇からドリブルをスタートします。この選手は、相手ゴールのあるペナルティーエリアの外から、守備のいない状況でシュートを打ちます。
1-上図に示されている状況からスタートします。青チームから2人の選手がボールを持ってスタートします。真ん中にいる赤の選手に対して、2対1の状況で相手ゴールを目指します。
2-青チームの選手がシュートを打つもしくはボールが外に出た時に、1人の赤の選手がボールを持ってスタートします。1で2対1を行った選手を含めて、2対2の状況で赤チームの選手は相手ゴールを目指します。
3-赤チームの選手がシュートを打つもしくはボールが外に出た時に、1人の青の選手がボールを持ってスタートします。2で2対2を行った選手を含めて、3対2の状況で青チームは相手ゴールを目指します。青チームの選手がシュートを打つもしくはボールが外に出たら、1(もしくは*0)に戻ります。
*4•5-同様の流れで、3対3→4対3まで行ってもらっても構いません。しかし、4対4あるいは5対4まで行うことはおすすめしません。なぜなら、この状況では、カウンターアタックを行うことは難しいからです。

守備側はボールを奪ったら、相手ゴールを目指します。ただし、この場合でもプレーの順番は変わりません。つまり、1の時に赤の選手がボールを奪ってシュートまで行ったとしても、次にスタートするチームは赤チームです。

必ず2セット行いましょう。
最初にスタートするチームの方がより多くのゴールを決めやすく、またプレーする回数も多くなります。ですので、仮にこのトレーニングメニュー全体で15分の場合、青チームスタートで7分、赤チームスタートで7分といったように2セット行いましょう。

ポイント

◉ボールを持っているチーム(守備から攻撃への切り替え)
①素早く相手ゴールを目指すこと。時間をかけない。
→特に、数的優位な状況では時間をかけないこと。相手を引きつけたら味方選手にパスを出し、素早くシュートまで行くこと。
*時間がかかりすぐている時は、指導者がプレーを切る。
②幅取ること。味方選手と異なるポジションを取る。
→相手の近くに集結するのではなく、相手から離れる。なぜなら、仮に相手を引きつけてもう1人の選手にパスを出しても、近い位置にいれば相手に追いつかれてしまい、簡単に素早くシュートまで行くことが難しいから。

◉ボールを持っていないチーム(攻撃から守備への切り替え)
①相手の攻撃を遅らせる。
→味方選手が戻ってくる時間を稼ぐ。
後方に下がりながら、かつ相手のパスコースを切る。ただし、相手の横からパスコースを切らないこと。相手の横からパスコースを切った場合、ドリブルで簡単に突破されてしまう。これでは、“相手の攻撃を遅らせる”と言う目的を果たすことができない。
②シュートブロックをする。
→自陣ゴールのあるペナルティーエリア内に侵入される前に相手に体を寄せる。
後方に下がりながら相手の攻撃を遅らせるといっても、どこまで下がるのか?
この基準の1つがペナルティーエリア。
ペナルティーエリアに侵入されそうになるタイミングで相手に体を寄せ、簡単にシュートを打たせないようにする。

ゲーム

最後のゲームでは、必ずフォーメーションを決めて行いましょう。

フォーメーションを決めていない状況では、サッカーの基本戦術を整理することが難しくなります。また、試合を見る側の指導者からしても、現象を正確に把握することが困難になります。

最後に

今回紹介した内容は、冒頭にも話した通り、技術•戦術・フィジカル・メンタル、サッカーにおける全ての要素、また攻撃・守備・攻守の切り替えと言った全てのサッカーの局面の要素を含んだものとなっています。

ただし、すべての要素やすべての局面について1度にすべて説明すると、情報過多となります。ですので、同じトレーニングの中でも、どの要素•どの局面にフォーカスするかを決めて、トレーニングに臨むようにしましょう。

逆に、どの要素•どの局面にフォーカスするかが決まっている状況でも、今回紹介したトレーニングを使うこともできます。
例えば、「週末の試合で攻守の切り替えがうまくいかなった、特にカウンターアタックの時の判断が悪かった。だから、今日のトレーニングではそこにフォーカスしていきたい。」といった考えがあれば、TR①や②で、攻守の切り替えにフォーカスした別のトレーニングメニューを作り、TR③で今回紹介したものを使うと言うこともできます。

見方を変えれば、いろいろと応用ができます。
今回紹介したトレーニングは、その代表的なメニューです。

この記事が、日頃のトレーニングを考える際の参考になれば幸いです。
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