サッカー指導者とは?
今回のテーマは、「サッカー指導者を育てる」ですが、
その話に入る前にそもそもサッカー指導者とは何なのかを少し考えてみましょう。
皆さんがイメージするサッカー指導者とはどんな人でしょうか?
海外サッカーでよく見るような監督ですか?
サッカーを細かく分析し、戦略的なサッカーを目指す監督ですか?
それとも、高校サッカーのように厳しく人間性を育てるような監督ですか?
サッカー評論家のように言葉を巧みに使うような人ですか?
それとも、グラウンドに来ては怒鳴るだけのような人ですか?
選手に寄り添ってくれるコーチのような人ですか?
皆さんの選手時代の監督の印象や、今現在指導者を目指している人・既に指導者の人にはそれぞれの理想の監督像があると思います。
サッカー指導者と言っても、様々なタイプがあると思います。それこそ、今ここに挙げた例もそのいくつかです。
しかし、そもそも「サッカー指導者」とは、選手にサッカーを教える人のことです。
これが大前提です。
これがあって初めて、「自分はこういうサッカー指導者でありたい」「自分はこういった監督でありたい」という理想が成り立つのです。
サッカーを教えなければ、それは「サッカー指導者」とは呼べません。
指導者
〘名〙① 学問、研究などの指導をする人。② 団体、社会、国家などでその組織を指導する立場にある人。
*参照:コトバンク 精選版 日本国語大辞典「指導者」の解説
選手よりも指導者がサッカーを学ぶ
「サッカーを学ぶ」となった時、まず一番最初に理解していただきたいことは、1つです。
サッカーはチームスポーツである。
7人制であろうが、8人制であろうが、11人制であろうが、サッカーは1人で行うような個人スポーツではないということです。
このように考える人もいるでしょう。確かに、いくつかの局面においてや選手を獲得する際には1選手の個人の能力がとても重要になってきます。
しかし、スーパーな選手が11人いれば必ず勝てるのがサッカーでしょうか?
ここで2つの例を出してみます。ぜひ想像してみてください。
①例えば、全盛期のリオネル・メッシ選手、間違いなく世界最高峰の選手の1人です、その彼が11人いるチームは最強でしょうか?無敵でしょうか?
おそらくそうではないでしょう。なぜなら、メッシ選手はGKでもなければDFでもない選手だからです。つまり、サッカーにはそれぞれに役割があり、適材適所が存在するのです。
②世界最高峰のリーグと呼ばれるUEFA Champions Leagueを思い出してみてください。
グループリーグ、トーナメントで勝っているのは、必ず優れている選手・名声のある選手をより多く獲得しているチームでしょうか?
常にそうというわけではないでしょう。確かに、選手層が厚いことは過密スケジュールを乗り越える上では需要です。しかし、選手たち個人が優れているだけではレベルが拮抗している世界では勝てません。なぜなら、サッカーはチームスポーツだからです。
つまり、チームを率い、選手たちに役割・戦術・戦略を与える指揮官が必要なのです。
これらを踏まえると、一つの結論が出ます。
それは、サッカー指導者[監督・コーチ]が必要不可欠ということです。
近年SNSを見ていると、選手向けにサッカーのテクニックを紹介したり、「サッカー」を解説したりしている人を見かけます。それらの情報は、多くの選手たちにとって、サッカーを理解すること、サッカーの個人レベルを上げることにつながっていると思います。
しかし、選手がサッカーを学んだ先にあるのは何でしょうか?
その先にいるのが、選手を正しく評価できない監督やサッカーを全く理解していない監督だった場合どうでしょうか?
選手個人がどれほど優れた能力を持っていたとしても、彼らを導く、指揮する監督や指導者が優れていなければ、その選手が望んだ結果を得ることは難しいでしょう。
選手の適性を理解し、チームの方針・やり方を定め、選手たちを指導・指揮する人がいなくてはなりません。それがサッカー指導者であり、サッカー監督であると考えます。
スペインのサッカーを学ぶ環境
日本では、サッカー選手や指導者向けの書籍が多く発刊され店頭に並んでいます。
一方で、スペインにそういった書籍は多くはありません。また、ほとんどの指導者がそういった書籍を積極的には読みません。選手に関しては、一切読みません。
では、選手はどこでサッカーを学んでいるのか?
2つの方法です。
1つは、世界を代表する国内リーグの1つ、LA LIGA ESPAÑOLAの存在です。
近年イングランドのプレミアリーグを視聴する人も増えましたが、とにかくスペインにいるサッカー関係者は多くのサッカーの試合を見ます。選手もその例外ではありません。身近にレベルの高いサッカーがあり、それを生活の一部として習慣的に見ることで、嫌でもある程度目が肥えます。
もう1つは、所属チームの監督・指導者からの指導です。
特に育成年代の話にはなりますが、スペインでは優れたクラブ、チーム、指導者を評価する上で、サッカーを学べる環境であるかどうかが非常に重要になってきます。もちろん、そこに結果がついてくることは求められます。
一方で、サッカー大国スペインですら、全ての指導者がサッカーを教えられいるかと聞かれると、NOと答えざるをえません。ですので、選手がこれまで所属してきたチーム・指導者によって、その選手のサッカー理解度は異なります。
日本のサッカーを学ぶ環境
先ほど少し話したように、日本のサッカー選手にはSNSや書籍を通して、サッカーを学ぶ場合が多く見受けられます。
では、それはなぜでしょうか?
個人的な見解ではありますが、それは日本では歴史的に学校教育とスポーツが密接に関係しているからだと思います。説明します。
学校の部活動の多くでは、“人間教育”・“人間性の向上”なるものを目標に掲げています。
「挨拶をできる人になろう」、「自分で考えられる人になろう」、「自立した人になろう」などなど、人として大事なことを教えようとしてくれます。これは、社会で生きていくためには必要なもので、それを学ぶ重要性は必ずあります。
しかしその一方で、部活動では「サッカー部の顧問」であり、「サッカー指導者」ではないことが考えられます。つまり、“選手にサッカーを教えることができていない、もしくはしていない”ということです。
サッカー指導者である以上、サッカーを教えるということを怠ってはいけません。
「サッカー指導者」とは、選手にサッカーを教える人。
だからこそ、サッカー指導者はサッカーに対して探究心を忘れず、選手以上にサッカーについて学んでいかなければならないのです。
学びに終わりはあるのか?
これは私が、スペインのマドリッドのあるチームで研修をしている時にした質問です。
そして次のように会話が続きました。
「それを続ければいい」、簡単に聞こえるかもしれませんが、サッカーを学び続けることをしているサッカー指導者の人はどれだけいるでしょう?
この会話の後から、毎日のように「今日何を学んだのか?」と自分に問いかけるようにしています。もしすぐに何も出てこないようなら、何かを変える必要があると考えるようにしています。そもそも、何も出てこないなんてことがないように心がけてはいます😂😂😂
ここで質問です。
サッカー指導者として学びの終わりはあるでしょか?
サッカー指導者講習会を終えれば、おしまいでしょうか?
S級指導者ライセンスを取った、プロチームの監督になった、第一監督になった、自分より上の立場の人がいなくなった、そこでおしまいでしょうか?
答えはNOです。
学びに終わりはありません。
あえて、終わりを定めるとするのならば、それは「サッカーへの情熱を失った時」です。
サッカーをプレーすることへの情熱を失ったのなら、サッカー選手を辞める時です。
サッカーへの情熱を失ったのなら、サッカーから離れる時です。
ただし、間違えないでもらいたいことは「これらの情熱を失うことは、悪いことではない。」ということです。サッカー以外に情熱を注げるものを見つけたのならば、それは良いことです。また、時には少しサッカーと距離を取りることが必要なこともあるでしょう。
一緒にサッカーを学びましょう!
当サイトでは、FútbolChat[フットボールチャット]ではスペインと日本の違いを話すと同時に、サッカーを学ぶお手伝いをさせていただきます。
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